今日は債券投資についてお話しします。
いろいろ投資をしている人は多いかと思います。でも債券投資はなかなかなじみが薄いのかもしれません。そこで今日から何回かに分けて解説をします。今日は、手始めに基本用語の説明からしましょう。
そのそも「債券」とは
「債券」と言って何を想像しますか。
なかなか思いつかない人も多いかもしれませんね。
でも、国債というと知っている人も多いでしょうね。簡単に言うと、債券は「借用証書」です。
いくら借りました。いついつまでには返します。利息はいくら払います。などなど書かれてますね。
つまり、お金を借りた人が、お金を借りたことを示す証明書のようなものです。ただ、普通の「借用証書」と違うところは、この文書がいつでも売買できるということなんです。売買できるということは、値段が付くということです。つまり、たとえば100万円借りて、3年後に10万円の利息を付けて必ず返します、という「借用証書」が売買されて、場合によっては、返してもらうお金より高く売れることがあるということなんです。するとそこにはそれを投資の手段として使おうということが可能となるのです。
債券市場がある
株式取引に株式市場があるように、債券にもそれを売買する債権市場があります。一度発行されても、その債権を売買できるということですね。しかし、株式は、東京証券取引所など、皆さんも知っていると思いますが、債券市場はあまりなじみがないですね。実はそのはずで、ほとんどが店頭取引といって、金融機関と投資家が1対1(これを相対という)で取引するからです。もちろん東京証券取引所で取引されている債権もあります。
債券の種類
債券の種類には、次にようにいくつかに分かれます。
1.公共債と民間債
①公共債は、先ほどの国が発行する「国債」をはじめとして、都道府県市町村などの地方自治体が発行する「地方債」、政府関係機関が発行する「政府関係機関債」があります。
②民間債には、会社が発行する「社債」と、銀行が発行する「金融債」があります。
2.利付債と割引債
①利付債はおおむね半年ごとに利息がもらえる債券です。普通の借金と同じですね。
②割引債は利息がもらえないけど額面(返してもらえる元本と考えていいです)より安い値段で発行するものです。
たとえば、額面が100円だけど98円で発行するというものなんですね。98円で買うけど100円返してもらえるので、ここでの差額2円がいわば利息みたいなものですね。
3.新発債と既発債
①新発債は、新しく発行された債券です。
②既発債は、すでに発行済みの債券です。すでに発行済みですが、市場で売買されるので、取引の対象となります。
4.仕組債
仕組債は、やや難しいですが、先物やスワップなどの金融派生商品を組み合わせた債券です。
債券の発行価格
先ほど言いましたように、債券は必ずしも額面価格通りに発行されるとは限りません。
①アンダーパーとは、発行価格が額面を下回る場合 例えば、100円のものが98円で発行してる場合です。つまり、98円で買うけど、100円+利息を返してもらえる
②パーとは、額面価格どおりに発行した場合 例えば、100円のものが100円で発行してる場合です。つまり、100円で買って、100円+利息返してもらえる。
③オーバーパーとは、発行価格が額面を上回る場合たとえば、100円のものが102円で発行してる場合です。100円しか返してもらえないのになぜ高く買うのか?これは、実は利息が影響していることが多いです。この場合の利息をクーポン利息といいますが、いわば、借金の利率のことです。
たとえば、100円で発行してクーポン利息が10%だとします。3年後に返すとすると、利息は100円×10%×3年=30円となります。したがって、3年後には、100円+30円=130円返ってきます。この債券を102円で買っても、130円もらえますから、結局28円得するので、たとえ102円でも買うのですね。
「利回り」について
「利回り」とは、いわば、投資したお金に対する、1年あたりの儲けです。
銀行預金ですと、預けたお金に対する1年間の利息です。
株式投資ですと、買った金額に対して、売った金額との差額(売買差益)の1年あたり利益ですね。配当も含まれます。債券の場合も、株式投資と同じです。
つまり、債券を買って売った時のもうけ、つまり利息+売買差益の買った金額に対する1年あたりの儲けです。
「スポットレート」と「フォワードレート」
①スポットレートとは、現時点で確定していいる利回りで、具体的には、先ほどの割引債の利回りのことです。
②ファワードレートとは、将来のある時点からある時点までの利回りをいいます。これは将来の利率なので、本来は分からないのですが、現在のスポットレートから計算することができます。
たとえば、現在のスポットレート2年ものが1.5%、スポットレート3年ものが1.6%だとすると、2年後スタートのフォワードレートは、1.6%×3-1.5%×2=1.8%になる。
この利率は現在の時点で予約可能な2年後の利率ということになります。
「デュレーション」について
「デュレーション」には、2つの意味があります。
①債券に投資した元本の平均回収期間 ②金利変化に対する債券価格の感応度
①は、投資した金額が、利息含めてそのくらいの期間で回収できるかを表すものです。なので、投資期間が決まっているときには、その期間とこのデュレーションが一致する債権を持っておくと安心だということになります。
②は、価格の感応度を表しますから、たとえばこれが0だとほとんどブレがないことになり、これが高いとブレが大きいことになります。ブレが大きいというのは必ずしも危ないということだけではなく、リターンも大きくなることがあるということです。したがって、この指標は、どのくらいリスクをとって相場を貼るかの目安になります。
以上、やや難しかったかもしれませんが、皆さんになじみの深い「国債」以外にもいろいろな債権があって、それが売買されています。世界的に金利が上昇傾向にある中、債券が注目されていますので、本日はまず、基本用語について解説しました。
おまけ
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