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FPが「債券投資」について解説する②「利回り」について

債券は、基本的にはお金を貸すことですから、最終的には貸したお金(「元本」)は返ってきますし、利息が付きます。貸したお金に対してどれだけ利益が出るかは、皆さんも気になりますよね。貸したお金に対して、1年間にどれだけの利益(もうけ)が出るかを、「利回り」といいます。できるだけ利回りのよい債券を選ぶのが必須となりますね。

そこで今回は、「利回り」についてお話しします。

「利回り」

「利回り」は1年あたりの儲けですから、次のような式で表せますね。

分子の「1年あたりの利益」には、利息だけではなく、「債券自体の回収益」を1年あたりに換算した金額も含まれます。

「債権の回収益」とは、満期まで保有していれば、買った金額と額面との差額になります。途中で売ってしまえば買った金額と売った金額との差額になります。簡単に言えば、買った金額と返ってきた金額の差額が「債券自体の回収益」となります。もちろん、売った時に買った金額より低ければ、これはマイナスになってしまいます。

そこで、上の式を書き換えると次の式になります。


この式からわかることは、次のことです。 ① 利回りは、利息と1年あたりの回収益から成り立つので、利息が低くても回収益が大きいと利回りが大きくなる場合がある。 ② 逆に、回収益が小さくても、利息が大きければ、利回りが大きくなることがある。

②からしますと、たとえ、回収益がマイナスになったとしても利息が大きい場合には、利回りが大きくなる場合があるということですね。

要するに、単純に利息が大きいかどうかだけで判断できないということです。


利息の決定

では、ここでの「利息」はどのようにして決まるのでしょうか。債券を発行する者が「利息」を決めて、債券を売りに出しますので、買ってくれる人がいなければなりませんので、自分の都合だけでは決められませんね。

1.政策金利 政策金利とは、日銀が設定する短期金利のことですが、金利のベースとなります。

2.経済成長率 次に、あげられるのが、経済成長率です。債券を発行する理由は、お金を借りてそれで事業を行うからですね。すると、事業が経済の発展に沿って成長すると考えれば、利息はその成長率に沿ったものになります。

3.物価上昇 さらに、物価上昇、つまりインフレ率も影響してきます。インフレとはお金の価値が下がることですから、借りたお金が返す時には価値が下がってしまっています。お金を貸す方としては、そのまま返されても困ります。そのため、足りない分を利息としてもらう必要があります。

4.デフォルトリスク また、重要なのがデフォルトリスクです。デフォルトリスクとは貸したお金が返せないことです。今ですと、ロシアの国債がデフォルトになるのではないかと懸念されていますが、債券を発行した者が破綻するリスクですね。債券を発行する際には、格付け期間の格付けが必要で、そこでは、格付けの高い順から、AAA、AA、A、BBB、BB、B、CCC… という具合に債券の格付けがされます。格付けの高い債券に比べて、格付けの低い債券はデフォルトリスクが高いので、利息は高くなります。高くしないとだれも貸してくれないからですね。

債券の価格

一方で、債券の回収益に関わる債券の価格はどのように決まるのでしょうか。債券が初めて発行されたときは、原則として額面通りの金額で売られますが、一旦発行された債券は、市場原理で価格が決定されて、売買されます。

需要と供給の関係で売買価格は決まりますので、実に多様な判断がそこには加わります。短期売買なのか長期保有なのか、どのようなリスクを重視するか、などなど投資家の思惑により決まっていきます。


金利と価格との関係

ここでは、一つだけ知ってほしいことをお伝えします。それは、金利が上がると価格は下がり、金利が下がると価格が上がるという関係にあるということです。つまり、債券は最初に利率が決められているため、現在の金利がその利率を上回ると、その債券の人気は下がり価格が下がります。逆に、現在の金利が債券の利率を下回ると、その債券の人気が高まり価格が上昇します。


おまけ

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